事例概要
『おこフェス2024』は、広島の魅力的な食文化である“お好み焼き”を、より多くの人々に楽しんでもらうために開催されたフードイベントです。期間中、広島各地の名だたる名店が9店舗も出店し、作り方や見た目、味の違いといった各店舗のこだわりを、食べ比べを通して体験することができました。 既に次回の開催も決まっており、2025年10月11日から13日の三日間で予定されています。 今回のイベント開催にあたり、大昌工芸はロゴ・看板・ブースのデザインをはじめ、会場の設計・設営を担当。事前告知を見て来場された方の誘導に加え、通行者の興味を引いて会場へ集客できるように、また、全ての来場者が心地よい時間を過ごせるように、会場と商品の特性を押さえながら、レイアウトやブースのデザインを検討していきました。
課題
目立ちにくい場所にある会場を、車道と歩道の通行者にアピールすること。 縦長長方形の会場で、来場者を滞留させず回遊させること。 出店者のこだわりの違いを、わかりやすく表現して伝えること。
会場設計のポイント
会場の「エキキターレ」は、広島駅北口より徒歩5分の場所にあり、通行量の多い大きな道路に面しています。しかし、ビルとビルの間にある広場ということで、決して目立つ場所ではありません。 告知を見て来られた方を誘導するにしても、近隣施設の利用者や付近の生活者を集客するにしても、いかにして会場の存在をアピールするか、ということが大きな課題でした。 そこで、まずは車道と歩道からの視認性を高めることを目指しました。入場受付を敷地の境界線ギリギリ、歩道のすぐ傍まで寄せて配置。さらに、入場受付にできる人の列を、道路と平行になるように整理しました。 これにより、歩道を通行する人はもちろん、車道や反対の歩道からも人だかりが目に入るようになりました。あわせて、人の目を引きやすい赤色を基調とした看板も使用したことで、会場の存在を十分にアピールできました。
会場設計のポイント
前述の通り、「エキキターレ」はビルとビルの間にある広場です。幅20メートル、長さ100メートルの縦長長方形で、”通り”という表現が正しいでしょう。本イベントでは、この縦長長方形に販売ブースと客席を配置する必要がありました。 まずは全体のゾーニングですが、会場を入り口側と奥側の2つのエリアに分け、入り口側を販売エリア、奥側を客席エリアとしました。そして、入り口側から奥側に向かう“通り”をメインの動線として活かし、その両サイドにブースをレイアウト。販売エリアで物色・購入してもらい、客席エリアに流れて食事をしてもらう、という動きを想定しました。 ただ一点、懸念事項として考えられたのが、販売エリアに人が滞留してしまうことでした。つまり、ブースを選ぶ人・ブースに並ぶ人・ブースで購入した人によって“通り”に混雑が発生し、回遊性を下げてしまう可能性があったのです。 そこで今回は、両サイドのブースを2店舗ずつ一定の間隔を空けて配置し、ブースの両サイドにスペースを設けることにしました。このスペースは、行列ができた際の待機場所かつ、購入後に客席エリアへと抜けるための動線として機能します。 こうすることで、選ぶ人・並ぶ人・購入した人が“通り”に滞留してしまうことを防ぎ、メイン動線の見通しも確保しつつ回遊性を高めました。
ブースデザインのポイント
『おこフェス2024』では、広島の多様な「お好み焼き文化」とその奥深さを伝えることがコンセプトとして設定されていました。 しかし、“お好み焼き”は一見するとビジュアルに大きな差異がありません。来場者に食べ比べを楽しんでもらうためには、9店舗のこだわりの違いが一目でわかるような工夫が必要でした。 今回、その違いをわかりやすくするために、あえて共通のフォーマットを用いてブース看板をデザインしました。 これは、各店のこだわりである、見た目・作り方・味の違いといった情報を共通のフォーマットに落とし込むことで、伝える情報に統一性と規則性を持たせ、お店の比較を容易にするため工夫です。 具体的には、濃厚orあっさり、麺やわor麺パリといった情報をチャートで視覚的に見せたうえ、さらに、各店が特にこだわっているのが見た目なのか、作り方なのか、味なのかがわかるように、看板の色を3つに分けました。 こうして、“何にこだわっているお好み焼き”なのか、一目で直感的にわかるようなブースになりました。